Petrolz(ペトロールズ)は長岡亮介と三浦’ジャンボ’淳悟、そして河村’ボブ’俊秀によって2005年に結成された、現在の日本のインディーシーンにおいて最も尊敬されているスリーピースバンドのひとつである。彼らは結成してからの18年間、その卓越した演奏技術と色気のあるグルーヴを通じて、日本のコアな音楽ファンの間で口コミだけでカルト的な人気を確立してきた。なぜなら彼らは自らのプロフィールについてあまり公にしないばかりか、ソーシャルメディアからもほとんど姿を潜めているからだ。これまで散発的に発売されたCD以外に、私たちは彼らの音楽を聴くことすらできない。それでも「以前よりも受け入れられているような気がしている」とフロントマンの長岡が語るように、ひとたび全国ツアーを行えば数千人規模の会場は軒並みソールドアウトしてしまうのだ。こうしてPetrolz の音楽はまるで時間をかけて育まれた友情のように、決して色褪せることのない普遍的な価値を獲得してきた。
結成当初のPetrolz は東京・下北沢を中心に精力的なライブ活動を行なっていた。彼らのデモテープを聞いて唯一電話をかけてきた現在のマネージャーによる後押しでレコーディングが開始され、2007年に下北沢GARAGEにて発売された150枚限定のミニアルバム「仮免」が、彼らにとって初めてのCD音源となった。初めての海外リリースとなる今回のアルバム「Ranhansha」は、すでに閉鎖されてしまったスタジオの倉庫に廃棄されたハードドライブから、オリジナルデータを探し出す作業から始まった。また彼らの人気曲「Tunnel」 はこの作品のために新たにレコーディングしなおしたため、新旧織り混ぜのPetrolz を楽しめるとても貴重なレコードになっている。さらに、バンドの長い歴史で初めてデジタルリリースが実現したことは、長年のファンにとって大変嬉しいサプライズになっただろう。
このプロジェクトのユニークさをさらに際立たせているのは、Russell Elevadoをミキシングエンジニアとして迎えたことにある。ハンドメイドの手触りを感じる音像や彼の独創的なミキシングのアプローチは、D’Angeloの「Voodoo」(2000)やRoy Hargrooveの「Hard Groove」 (2003) などの名盤を支えた屋台骨となっていることは言うまでもない。Russell による創造的で魔法のようなミキシングによってもう一度命が宿ったPetrolz の音楽を、ぜひ多くの人にレコードで体感してほしい。
ちなみに’Ranhansha’ とは日本語で「乱反射」の意味である。まるで宇宙の銀河のような高層ビルの光に包まれた夜の東京を、ヴィンテージカーでクルージングしているような作品に仕上がった。現代を代表する日本のミュージシャンと世界最高のエンジニアが織りなす音の乱反射が、ダンスフロアを照らすミラーボールのように誰かの人生を彩ることができれば、私にとってこの上ない喜びである。
- 小袋成彬(株式会社TOKA 創業者)
Petrolz(ペトロールズ)は長岡亮介と三浦’ジャンボ’淳悟、そして河村’ボブ’俊秀によって2005年に結成された、現在の日本のインディーシーンにおいて最も尊敬されているスリーピースバンドのひとつである。彼らは結成してからの18年間、その卓越した演奏技術と色気のあるグルーヴを通じて、日本のコアな音楽ファンの間で口コミだけでカルト的な人気を確立してきた。なぜなら彼らは自らのプロフィールについてあまり公にしないばかりか、ソーシャルメディアからもほとんど姿を潜めているからだ。これまで散発的に発売されたCD以外に、私たちは彼らの音楽を聴くことすらできない。それでも「以前よりも受け入れられているような気がしている」とフロントマンの長岡が語るように、ひとたび全国ツアーを行えば数千人規模の会場は軒並みソールドアウトしてしまうのだ。こうしてPetrolz の音楽はまるで時間をかけて育まれた友情のように、決して色褪せることのない普遍的な価値を獲得してきた。
結成当初のPetrolz は東京・下北沢を中心に精力的なライブ活動を行なっていた。彼らのデモテープを聞いて唯一電話をかけてきた現在のマネージャーによる後押しでレコーディングが開始され、2007年に下北沢GARAGEにて発売された150枚限定のミニアルバム「仮免」が、彼らにとって初めてのCD音源となった。初めての海外リリースとなる今回のアルバム「Ranhansha」は、すでに閉鎖されてしまったスタジオの倉庫に廃棄されたハードドライブから、オリジナルデータを探し出す作業から始まった。また彼らの人気曲「Tunnel」 はこの作品のために新たにレコーディングしなおしたため、新旧織り混ぜのPetrolz を楽しめるとても貴重なレコードになっている。さらに、バンドの長い歴史で初めてデジタルリリースが実現したことは、長年のファンにとって大変嬉しいサプライズになっただろう。
このプロジェクトのユニークさをさらに際立たせているのは、Russell Elevadoをミキシングエンジニアとして迎えたことにある。ハンドメイドの手触りを感じる音像や彼の独創的なミキシングのアプローチは、D’Angeloの「Voodoo」(2000)やRoy Hargrooveの「Hard Groove」 (2003) などの名盤を支えた屋台骨となっていることは言うまでもない。Russell による創造的で魔法のようなミキシングによってもう一度命が宿ったPetrolz の音楽を、ぜひ多くの人にレコードで体感してほしい。
ちなみに’Ranhansha’ とは日本語で「乱反射」の意味である。まるで宇宙の銀河のような高層ビルの光に包まれた夜の東京を、ヴィンテージカーでクルージングしているような作品に仕上がった。現代を代表する日本のミュージシャンと世界最高のエンジニアが織りなす音の乱反射が、ダンスフロアを照らすミラーボールのように誰かの人生を彩ることができれば、私にとってこの上ない喜びである。
- 小袋成彬(株式会社TOKA 創業者)
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